2019年度東京SJCDテクニシャンミーティングを終えて

2019年度東京SJCDテクニシャンミーティングを終えて

2019年度東京SJCDテクニシャンミーティングを終えて                                            

DH荒川

 

 

9月1日(日)東京SJCDテクニシャンミーティングに参加してきました。

 

歯科技工士の土屋覚さんによる「AIRWAYDENTISTY」という演題で睡眠時無呼吸症がどのくらい口腔状況や、歯科症状に影響を及ぼすのかという内容でした。

 

土屋覚さんは東邦歯科技工専門学校を卒業しDENTCRAFT STUDIO(技工所)を青山に設立、世界で著名なトップデンティストの方々と共にトータルエステティックな仕事をされている方です。

 

睡眠時、覚醒時の歯ぎしりや食いしばりはどのようにして起きるのか。睡眠時無呼吸症により歯が溶けていたり、削れてしまうということなどについて教えて頂きました。

 

驚いたのは睡眠時に歯ぎしりや、食いしばりをする現象はストレスだけではなく睡眠時に呼吸ができていない方に起こりやすいということです。

呼吸ができていないことで血中酸素濃度が不足し、交感神経に刺激され呼吸のための生体反射として歯ぎしり、くいしばりへと反応してしまうとの事。

そして歯ぎしり、くいしばりをすることによって筋肉痛、頭痛、関節痛が起こり、顎関節症になります。さらに歯ぎしり、くいしばりはものすごい力で歯に接触しているので歯や歯の根っこが割れてしまったり、噛み合わせにも影響を与えます。

 

 

歯ぎしり、くいしばりは夜間より昼間のほうが多く夜間の歯ぎしり、くいしばりが8〜10%に対し昼間は20%と心理学的反応でこれはストレスが原因と言われています。

さらにストレスをかかえることにより、血中の酸素濃度は不足し、心拍数が上がり、空腹状態になります。

特に肥満の方はこのような現象になっていることが多いそうです。

 

 

上の前歯の裏側が溶けている患者様をよく拝見します。

いわゆる酸蝕症です。酸蝕症については    ( https://www.yedc4648.com/column/post-17/ )  当院HPより

 

患者様から問診で食べ物、飲み物や過食症、拒食症含む既往歴を伺っても原因がわからない患者様もいました。

食べ物、飲み物などの外因性以外に考えられるのは、内因性である胃液が原因で歯が溶けていることがわかりました。いわゆる胃酸です。

胃酸のPHは1.0〜2.0と非常に強い酸性であり、口の中に流れ込むことで酸蝕症を引き起こします。

主に睡眠時無呼吸症の方は舌の付け根(舌根)が上気道に落ち込みやすくなり、塞いでしまいます。睡眠中は筋肉がゆるみやすくなるので無呼吸が起こりやすい状態になるのです。

気道を塞いでしまうことによって睡眠時覚醒し、下部食道括約筋がゆるみ胃から酸が逆流し、上の前歯の裏側に胃酸が接触し、歯が溶けてしまいます。これを胃酸性歯牙酸蝕症といいます。

胃酸の逆流を防ぐため内科等で胃酸の分泌を抑える薬を処方し、気道が塞がり難いように無呼吸症用のマウスピースを使用してもらうことが無呼吸症による酸蝕症の予防になります。

 

 

睡眠時無呼吸症候群はまだ、完全に解明された病気ではないとの事。今後、現状で無呼吸症と診断されていない方でも口腔内の状態で疑わしい方には、内科への受診を促し、診断されている方には歯科で行なう事ができる最良な対処療法を行っていければと思いました。