口内炎について

口内炎について

口内炎について

 

できると痛い口内炎。よくできる方、たまにできる方、ほとんどできない方、個人差は有りますができる種類、原因も様々あります。

 

なぜ口内炎はできてしまうのか、口内炎についてを詳しく説明します。

 

 

<口内炎の種類>

 

1.アフタ性口内炎

 一般的に最も多い口内炎の1つです。

ストレスや疲れからくる免疫力低下、栄養不足、睡眠不足などで、頬や歯茎、唇の裏側、舌に赤く縁取られた2〜10ミリほどの白い潰瘍ができます。

通常発生してから2週間くらいで自然治癒します。

 

2.カタル性口内炎                                                               

    歯ブラシや、食事などでの損傷、噛んでしまったり、合わない入れ歯を入れ、傷ができてしまう物理的刺激によって起こる口内炎です。

アフタ性口内炎と異なり、粘膜が赤く炎症し、味覚がわからなくなることもあります。

通常発生してから2週間くらいで自然治癒します。

 

3.ヘルペス性口内炎

 ウイルス感染から起こる口内炎です。

原因となるウイルスは「HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)」です。

日本人の約90%はHSV-1に感染しています。

 

生後6ヶ月〜3歳の乳幼児に初感染しやすく、突然39度前後の高熱が出たり、倦怠感(だるさ)がみられます。口腔粘膜には多数の口内炎ができ、特に歯肉や唇の発赤、腫脹、びらんが特徴です。顎下リンパ節が腫れ、噛む、飲む、話すことすら難しく、口腔内は荒れてしまうため口臭が強くなります。

感染経路は接触感染または飛沫感染と言われています。

一度でも感染すると体内から根絶する方法はなく、ウイルスは「三叉神経節」という場所に留まり続けることになります。

再発型として、疲労、睡眠不足、体調が優れないなど、体の抵抗力が落ち免疫力が低下した時に体内に潜んでいるHSV-1が暴れ出し発症することがあります。

体内のウイルスが暴れ出すことによる発症(再発型)は比較的症状は軽症で済みます。

大人のヘルペス性口内炎が軽症で済むのも、幼少期に初感染しているので、大人の場合はほとんど再発型ということになります。

※ヘルペスが再発する場合は、「口唇ヘルペス」として発症することのほうが多くあります。口唇ヘルペスは、唇の周囲に水疱が発生する病気です。口唇ヘルペスが発症している時は感染を防ぐためにも新生児との接触は控えましょう。

 

[治療]

抗ウイルス薬を使用します。

抗ウイルス薬は、HSV-1の増殖を抑え、症状の悪化を落ち着かせ治癒を早めます。ただし、現代の医学では、HSV-1を体内から根絶する方法はありません。

あくまでも、治癒を早める目的で使用されます。

患部には抗菌軟膏やクリームの塗り薬を処方します。

 

症状が重症な場合は入院した上で治療を行う必要がある場合があります。全身的な管理とともに、食事が困難な場合には、点滴やチューブで栄養を補給し抗ウイルス薬と鎮痛薬を投与を行います。

 

4.カンジダ性口内炎

 カンジダ菌(カンジダ・アルビカンス)は、真菌と呼ばれるカビの菌の一種であり、口腔内に棲息している常在菌です。

カンジダ口内炎になる時は体の免疫力が下がり抵抗力が落ちた時や、薬物の服用、口腔乾燥(ドライマウス)、口腔内が不衛生、入れ歯の洗浄を怠った時などにカンジダ菌が増殖し発症します。

カンジダ性口内炎には偽膜性と萎縮性があり口腔粘膜の痛みがでることがあります。

なかでも「急性偽膜性カンジダ症」が典型的なカンジダ症です。

 

急性である偽膜性カンジダ症は小児や老人に多く、体の抵抗力が落ちた時に発症しやすく、舌や口腔内の粘膜に白いコケのような膜(白苔)が付着します。

ガーゼなどでこすると剥がれますが、無理に膜を剥がすと粘膜面は発赤やびらんを起こしているので痛みが出ます。

慢性化すると肥厚性カンジダ症に進行し白苔が落ちにくく、上皮粘膜の厚みが増し角質化した粘膜になります。放置したままだと悪性化してしまう恐れもあります。

 

萎縮性カンジダ症は白苔は存在しないので異常所見がわかりにくいが口腔内は発赤やびらんなどがあり、舌がヒリヒリ痛み出したり、口唇の乾燥感などを自覚します。抗菌薬やステロイド薬など長期投与によって口腔内の常在菌バランスが崩れた時に起きやすいと言われています。

そして、入れ歯を入れている方は注意が必要です。

慢性萎縮性カンジダ症(義歯性口内炎)といって、入れ歯の洗浄を怠ったり、外さずに入れっぱなしで寝てしまう方に多く見られます。

入れ歯の下に溜まった汚れ(細菌)が増殖してしまい、真菌が口腔内に出現します。

真菌が入れ歯の下の粘膜を炎症をさせ、発赤し出血を伴います。また口角炎を生じることもあります。

 

[治療]

口腔内の清掃、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬、抗真菌薬の内服を使用します。

※抗生物質の使用は禁忌です。抗生物質は細菌を撃退する役割をするので真菌が増殖しやすくなるため症状の悪化につながります。

舌や粘膜に違和感を感じたら歯科医院へ受診してください。

 

日頃からの注意点

 ・免疫力の低下を防ぐこと・・・適度な運         動、睡眠、栄養のある食事

 ・口腔内を清潔にすること・・・入れ歯の洗浄、日々のブラッシング、歯科医院での定期検診

 

⒋手足口病

 手足口病は夏季に流行しやすいウイルス性の感染症です。

手のひらや足の甲や裏、口腔内に小水泡ができるのが特徴です。あまり痛みを感じないが口腔内は小水泡が破れてアフタ性口内炎になると痛みが強く出て食事や水分が取りにくく、脱水症状を起こすことがあります。

感染してから1〜2日は微熱を発症し、水泡は約一週間で消失します。

 

原因はコクサッキーウイルス、あるいはエンテロウイルスなどによる感染で、5歳未満の小児に感染しやすく、咳やくしゃみなどによる飛沫感染や便に排出されるウイルスや水泡が手、口、目の粘膜に触れる接触感染によって感染します。

 

 

[治療]

小児科を受診してもらいます。特に治療はせずに自然治癒で様子見ることが多いです。しかし全身症状が強い場合は、対症療法を行います。

手足口病にならないためにも手洗いをしっかりと行いましょう。

 

⒌口内炎に類似したもの   白板症

 白板症は口腔前癌病変の代表的な疾患の一つです。

粘膜の上皮が角化し厚くなり粘膜表面に板状や斑状の白色の病変が形成されます。主に口腔粘膜、頬の粘膜や舌、舌の横、歯肉に発症します。

こすっても除去できないのが特徴であり、痛みを感じにくく自覚症状が乏しいが悪性化すると痛みを伴うことがあります。

特に舌にできたものは悪性化する可能性が高く、舌癌になりやすいと言われています。

 

原因はまだ明確では無いが局所因子として、粘膜に慢性的な刺激が加わることによって発症するといわれています。

①化学的刺激・・・飲酒や喫煙(タバコの害)https://www.yedc4648.com/column/post-41/ (当院HPより)

②機械的刺激・・・虫歯や歯石、不適合な入れ歯や歯の補綴物(金属の被せ物や詰め物)が引っかかってしまったり鋭縁部が粘膜や

舌、歯茎を傷つけてしまう

 

[治療]

①刺激の原因となるものを除去する。

②禁煙

③ビタミンAを投与する

④組織をとって検査し、初期癌が疑われるものや悪性化するものは全て除去する

 ※切除を行わない場合は定期的に経過観察をする必要がある

 

このように口内炎には多くの種類があります。また、白板症のように自覚症状もなく、癌化するリスクのあるものがある為、口腔内を目視でセルフチェックする事は重要です。

通常、口内炎は長くても2週間ほどで治まります。

症状が長期間続く場合は、他の病気の一症状として口内炎が起こっているのかもしれません。

何度も同じところに傷をつくってしまう方や噛み癖のある方は口腔癌になるリスク高いといえます。口内炎に似た症状はさまざまな病気と関連して起こるので2週間で改善する様子がなければ歯科医院または口腔外科を受診しましょう。